ロッケー式「6つの記号」とは?
□で、囲む
→主語、主節となるもの
ひとまとまりで考えるもの
[ ]=「四角かっこ」
ひとつの文には、必ず「主語・動詞」がありますが、ひとつの文の中で、 2回目に「主語・動詞」が出てきた時に[ ]をつけます。[ ]の全体は、1かたまりの名詞と考えてよい。
( )=「かっこ」
→ 文の構造上、無視できるもの。
〈 〉=「三角かっこ」
→ 全体が名詞となるもの、
あるいは、全体が、直前の名詞や動詞を修飾するもの。
→同じ主語に対する動詞と動詞
同じ名詞を修飾する形容詞と形容詞
同じ助動詞の後の動詞の原形と動詞の原形
同じbe動詞に対する過去分詞と過去分詞
など、並列されているもの
以上の6つの記号のほかに、線(線、波線、二重線)がありますが、これらは、進行形や、イディオムなど、ヴィジュアル的に明薙にするために使います。
そのため、「線」、「波線」、「二重線」の違いは、特にありません。
同じ箇所に、波線ばかり引くと、一見、わからなくなってしまうので、必要に応じ、線にしたり、二重線にしたりしていきましょう。
ロッケー式英文読解法による授業は、ほぼこれらの記号だけで、高校入試レベルの英文から、センター試験、難関国公立大学2次試験に至るまで、解説・講義されます。
しかも、これらだけなので、今、覚えようとしなくても、何度か授業を受けているうちに、自然と自分で書けるようになってきます。
そのほうが重要なので、この「ロッケー式6つの記号リスト」は、何度も何度も読み返さなくても大文夫です。
また、「記号を書かなくてもわかる!」と思ってもあえて記号は書くようにしましょう。
ロッケー式英文読解法でなぜ、英文がスラスラ読めるようになるのか?
日本語であれ英語であれ、人間が使う言語の文はすべて、ただ単語をつらつらと並べただけでできているのではありません。文には一定の構造があります。
例えば、次の文を読んでみてください。
太郎は花子が描いた絵をそっと机の上に置いた。
この文の意味を理解できる人は、
①絵を描いたのは花子であって、太郎ではない
②置くという動作をしたのは太郎
③「そっと」したのは「置く」という動作であって、「絵を描く」という動作ではない、
というようなさまざまなことを無意識のうちに理解していることになります。このような情報は単語の意味から読み取っているのではなく、文の主語は何か、どの語句がどの語句を修飾しているのか、といった文の構造を理解しているからこそわかるものです。
文の意味を理解するにはこのような大まかな文の構造を捉えるということが、まず第一に必要です。
文のだいたいの構造がわからなければ、いくらひとつひとつの単語の意味がわかったとしても、文の意味はわかりません。日本語は、「は」「を」などの助詞で主に文法的な関係を表しているので、それらを除くと、次のように言ったとしても、誰が何を描いたのか、何をどこに置いたのか、さっぱりわからなくなります。
太郎 花子 描いた 絵 机 上 そっと 置いた。
それでは、文の意味がわかるためには、最低限どういう情報が必要なのかを、右の文を例にして少し詳しく見ていきましょう。文の大まかな構造で一番基本的なのは、文はすべて主語と述語に分かれるということです。右の文では「太郎は」が主語で、「花子が描いた絵を机の上に置いた」が述語です。ここでは、主語を四角で囲んで表示しておきます。
太郎 花子 描いた 絵 机 上 そっと 置いた。
次に、述語の内部構造が問題になります。述語の核になるのは動詞ですが、それぞれの動詞によってどのような種類のものを目的語や主語にとるかが決まっています。例えば「置く」であれば、《置くという動作をするもの》、《置かれる対象》、《置かれる場所》(日本語の場合、「太郎は本を置いた」という文も普通に使えるので、《場所》は必ずしも必須ではありませんが、英語の「put」はこの3つのものが必須です)というような3種類のものが必要です。
「走る」であれば、《走るという動作をするもの》1つだけ、「食べる」であれば、《食べるという動作をするもの》と《食べられる対象》の2つが必要です。このような、動詞が文になるために必要なものを専門的には「項」といい、「食べる」は2項動詞、「走る」は1項動詞などと言います。ようするに、「走る」の場合、「太郎は」を項としてとれば「太郎は走る」という文になりますが、「食べる」の場合「太郎は」だけではだめで、「リンゴを」などもう一つ項をとれば、「太郎はリンゴを食べる」という文ができるということです。ここでは便宜的に「置く」は英語の「put」と同じく3項動詞と考えておくことにします。
述語の構造でまず注意する必要があるのは、「項」とそれ以外のものを区別するということです。上の文では「置く」が3項動詞なので、「太郎は」と「花子が描いた絵」と「机の上に」が項だということになります。
「そっと」のような修飾語は「置く」という動作をより詳しく説明しているだけなので、別に無くても文としては成立します。
ここでは、主語以外の項にはアンダーラインを引いて、修飾語はかっこで囲むというように表示します。これだけでもかなり文の意味はわかるようになると思います。
太郎 花子 描いた 絵 机 上 (そっと) 置いた。
次に、項にも内部構造があります。「太郎が」のような場合はこれ以上分析する必要はありませんが、「花子が描いた絵」のような場合、これ全体としては「置く」の項になっているけれども、「花子が描いた」が「絵」を修飾しているという関係になっています。
日本語の場合、ある名詞を修飾する場合、その名詞の前におけばいいだけなので、簡単ですが、英語の場合、関係代名詞節や不定詞句が登場するので少し複雑になります。ここでは修飾関係を表すために四角かっこで表示しておきます。
太郎 [花子 描いた] 絵 机 上 (そっと) 置いた。
これだけの情報があれば、この文の意味は理解できるようになるのではないでしょうか。「置いた」の主語は「太郎」で、置かれた対象は「絵」で、その絵は「花子が描いたもの」で、置かれた場所は「机の上」で、どのように置かれたかというと「そっと」だということがわかります。
このように考えると、日本語でも英語でも、基本的に文の意味を理解するためには、主語と述語の区別、動詞の項とそれ以外の要素の区別、修飾関係、これらのことが文の意味を理解する上で、最低限必要な情報だということがわかります。
ここで述べたことは、日本人であれば、日本語を理解するときには、無意識的に行っていることなので、あたりまえだと思うかもしれませんが、同じことは英語を理解するときにも言えます。
学校の英語の授業では往々にしてSVO,SVOCのような5文型を細かく教えていますが、文法が好きな人ならいざ知らず、英語を読むために必要な最低限の文の構造という観点からは、この単語が〇なのかCなのかというようなことに頭を煩わせる必要はありません。不必要な文法用語に惑わされずに、本質的に必要な情報だけに集中するというのは、ロッケー式英文読解法の優れた特徴です。
ここでは、理論的な観点から言語の構造についてお話しましたが、この理論は、英文をすらすら読めるようになるためには、理解しなくても構いません。
ロッケー式英文読解法をマスターするには、あまり余計なことを考えずに、ロッケー式の授業を行う先生の授業を良く聞き、6つの記号を無意識につけられるようになることに集中することです。